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詩のブログ


by soratokinokakera

河辺

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渇いた河辺

矛の木洩れ日

棘の盾

供物の 時 が

光の歯車を回す街に

掛けられた春は

初めての春と重なり

季節となる前に

春 無き地図の中へ、と

帰っていく。



それは 失われた眼によって

描かれ ひらかれた 記号 一つの音


重い雲の 花びらが降る朝

壊れた扉が凭れ

幾つもの根が絡む廃家、に

芽ぐむ感情の波


夜の 眠る 海に

帰る雨

引きずられる雨音

道に置き去りにされた

足跡の熟れた無機質の空に

豊饒の海の香り


屑物の窓に掛けられた

光の落書き、

剝がれて流れ

架空の河となる。


夜の境界線に

昼の朽ちた顔を歌う

石に打つ

瞬間 と 覆された

響きに続く 空白の色


剝ぐ日めくり 残されて

明日の話は 伝えられた

不明と 起源に

帰っていく 床には冷たく

捨てられた 日めくり


砂の中の感情が一つになり

手を通して 消えていく

連なり 降る 雨音 拾う

子供の 日めくりに触れた目


罅割れて  解離

斧の重力へ

テーブルの上で踊り始める

捲れ 跳ね上がる光を従えて

朝は境界線を越えて

迷宮の種を蒔く


感触 落ちていく透明な闇の中に冷たくまたたくひとみの間で、
昨日、せきとめられた言葉の集まる沈黙はたたずむ。
終わりのない道が、長い影を引く枯れ枝の途切れる先に日溜まりは暖色の風。
おもいだしたようにゆらぐ
蝶の紋様をもつ子供の手に だけ触れた 名のない土地 奥深く柔らかい
波紋に乗る 遊ぶ 震え


潮鳴りが届く 河辺で。


by soratokinokakera | 2019-02-10 05:55 |