カテゴリ:時の回廊( 3 )

時の重さを量るように

エレベーターの中で

年はとりたくないわね 体のあちこちが痛くなってくるし
若い人は良いわね   と
年配の女性はポツリ  と

エレベーターに乗るとき、近くのグランドから若人の力強い声が
弾けるように通り過ぎていくのを、懐かしい時の流れに身を浸すように
この女性は佇んでいた

僕のほかには誰も乗っていない
独り言でもなく 語りかけるでもなく
深い森の奥からやってくるような 声で

どのように応えたらよいのか
もし 彼女が微笑みながら僕の方を見て言ったのならば
たぶん 何通りかの 応答ができた と おもう
でも その時は 出てきたことばを 否 否 否 と
砕くことしかできなかった


ぽつり ぽつり と 雨が ゆっくり、、、、、

彼女の心の中にある時の欠片たちは
深い眠りのなかに
それとも、、、、






e0365964_18353930.jpg



雨 降る 夜  
冷たくもなく 暖かくもなく
あの時 あなたが 僕の目の前にあらわれることなく
命を枯らすこととなるあの果実を
夜の雨のなかに置き去りにしたならば

いま 
雨 降る 朝
窓の外の景色は全く違った世界の言葉に満ちていたはず

あの果実は 
時の欠片となり、、、、



e0365964_18353902.jpg




街にはいくつもの川が流れていて
流れ着いた果実を手にして
物語の扉を開き
歩いてゆく



e0365964_18353942.jpg


ひとけのない みちで
ゆめをさかす はなと
であう






by soratokinokakera | 2017-02-01 05:40 | 時の回廊 | Trackback | Comments(0)

砂時計の中で


放たれ 煌き


椅子には静かな影

昇る輝かしい瞳を追う

時の実 を 

砕いたのは 細胞の海


水母 融けて はかない皮膚


棘のある感情が渡る


そこには 

硬く閉じた過去から届き 
未来へと指す ひかりの永い歩幅 を描く 夢に

ともなわれた熱い川


しずかな時間は  ほころびた雨の

海を呼ぶ声となり

乾いた街の朝に来る 沈んだ気配を濡らす




by soratokinokakera | 2017-01-31 22:23 | 時の回廊 | Trackback | Comments(0)

朝のように 朝となる

弓は引かれ
硬質な青は
化石の葉脈をとおして立ちあがり
朝のような 朝となる

めざめは 
左手で瞼を描き
右手で海と空の境界線を引き
かけることのない月
罅はしる底なしの空に
瞳を横たえる

たぐりよせられる 林檎の曲線を
指先に残る 残り火で 焼く
ほどけていく味覚
呼び覚ます前に 飛び去る

醒めることのないα星
光の雨粒にぬれて
朝のような 朝となる





e0365964_18355866.jpg










by soratokinokakera | 2016-09-11 10:32 | 時の回廊 | Trackback | Comments(0)