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記憶の雨


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昨日届いたみしらぬ土地の木々が放つ

遠い時間の揺らめきを 梢の先で探っていた思いが

小さな片隅のほころびを伝って

こぼれ落ちる

やがて根を生み出し育てていく

迂回していく様は

怯懦な視線を脱ぎ棄てる

そのとき 打ち沈む

戻らぬ水の流れをたくわえた

土の匂いが目を覚し始め

うっすらと描かれる

今日という

拘束の導入剤を飲む

境界線を東の空へ流す黄金の粒子

自由という不条理の手を裏返して

闇が滲んでいく波紋の上での

反覚醒 心想 こころの船底を

開いていく 偶然は

街角で瞬間を歌い

記憶の横顔を晒す仮面

蜻蛉が追われ

新たな記憶を奪われる瞳の奥

まぶしいだけの光の妄評

錆色の隊列を組んで

不揃いの歩行から

仮面の反乱を映す

隣人の反転した自画像を見て

暖かな光の浸食を飲む

眩暈はたしかなリズムをほどいて

記憶の裏側へ

旅の想像力を放つ




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by soratokinokakera | 2017-04-29 13:22 | | Trackback | Comments(0)

時間

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溶けていくように時を渡る
歩きはじめた幼児の時間
母の中からとりだした
螺旋の時を織りなす跳躍に満ちた景色の中で
観ること 触れること
光の横溢を産む空の下で
眼差しはあらゆる時の扉へ
と、それは撹乱の導き
と、不快と逸楽との共犯が個体の中で引く境界線
と、とめどなく過ぎさる瞬間の不安を騙し
触れることを失った手
王を心の森に潜む湖に沈め
王の不在を言葉に乗せる
観ることを失った手
鏡に映る物語の前で
穏やかな傾斜の優しさが転がしていく
何処へも届かない
日だまりの中の小さな果実
初めての色彩を持つ絵
果実が弾ける時
幻の花
幻の鳥の歌





by soratokinokakera | 2017-04-23 10:08 | | Trackback | Comments(0)
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軒下の風鈴に

洋々と漂う ノスタルジアの

忘れた風は迷う

破船を保つ傾き心の淵へと降ろしていく

その 一筆一筆

網膜の内側に描かれていく

連続と分断の狭間に根を張る植物群

刻まれた予告

とらわれた 漂着

衣擦れの満ち引き

風は運んでいく

つもりゆく便りの痕跡

不毛の沸き立ちからの確かな手応えを隠す

体温との距離を枯れ木の肌から 問い 答え

鏡の前で自画像を描き続ける 扉の無い地下室の中で 

流れているはずの旋律

ふと

空を見おろす月



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by soratokinokakera | 2017-04-16 08:53 | | Trackback | Comments(0)

遠くに

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雨が描く遠くの空
耳元にさざ波
地図に無い窓には
抜け落ちた静寂を産む

遠い時間だからこそ


熱は 旋風を呼び

声は 振る舞いを包み 

荒ぶる切断を繰り返し

ともに震える

空の色を溶かしていく


昨日の道を今日歩く記憶は

不穏の曲線を引く

虹をなぞって落ちる

時の粒を浴びて

滲む日めくり


飛び出した空から蝉は離れ

落ちてくる

不毛の雨音を降らす

熱波を抜けて

すましたベルの音が

見慣れた街の顔を剥がしていく

しずかに

虹の曲線をなぞって 落ちる

朝の雨粒

 

特別な今日であること

創られた記念日

飼い馴らされた

靴の中で剥がされる 感情の痛み


特別な今日であること

砕けていく 胃のなかで

名を溶かしていく


方位を失った地

夢の塔、の中で

砂の上の群像は

懐かしい指先を導く饒舌な皺を

額に刻む

騒がしい落とし穴

沈黙の扉が肩に触れる

開かれていく音のリズムから

ノスタルジア 振り向く先を

駆け抜ける

風の後ろ姿まで




by soratokinokakera | 2017-04-08 19:52 | | Trackback | Comments(0)

反転

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反転した地下道
夜は奪われて
人工色の想いは
波長の震えを網膜の
さらにその奥まで
滅んだことの無い
巌の時間の裂け目から
消えることのない火
を、夢に打ち込む
忘れることを零すことばたち
路地に金太郎飴の
とろける時間
深紅の花の歌を聴く
少しだけ鏡の角度を変えてみる
見えない扉を開いて
春の香りを通る木立のなかで
掛け違えボタンの
ゆがんだ影が伸びていく
開き掛けた地下道への
小さな蕾



by soratokinokakera | 2017-04-05 19:20 | 言葉の森へ | Trackback | Comments(0)