詩のブログ
by soratokinokakera
アンドロイの広告塔
人工色の波音から
走り続ける掲示板の深層へと
小麦色のメロディーは流れ落ち
新天地のラプソディーを肩に
羽ばたく鳥たちの
影に
こころ ひかれて なみおとは
ふかく ひかる
冷たい なかで ひらかれた絵
物静かな視線をそばに置いて
殻の中で目ざめる朝
その、 空 みずいろ の
破れた おと の 残影
夜の底で作られた
水たまりから
物静かな瞳がひらかれた
しずかに
木漏れ日の手を引く
光は瞳を、
ざわめき さわがせ
春風の気まぐれに
街は、系譜の花を咲かし
粉塵踊る細胞達の時代を
アスファルトの肌に転がしている
ビルの 影の 中の 原色の 空は、
逆立ちした一輪挿しの唇が、
咲かしているのだから
鏡には波立つ笑い声
風は
高層の下劣な涙 を、
ステーションのベンチに
時の綻びを座らせて
溶けいく仮面
描かれた頬の空に浮かぶ
呼吸に同調する 突堤
砕かれた波音の浄夜
記憶の裏側に直立する猿人
光と瞳は、
遊ぶ。
とりとめも無く
救われようとしている街に
つなぎ止めていた
駅までの道も
かかわりの無い途切れ途切れの
断片の表札から
ホロホロと
零れた珈琲の味を確かめながら
時間の躓きを拾い集めてみる
玄関の前に立ちながら
呼吸が細くなっている
自分の手が
見慣れたドアノブを求めるでも無く
冷たく交わる時
光の糸が絡まって
ドローイングの壁が
ドアの僅かに軋む音に
感応し張り詰めていく
朝の空から分離していく
猫は朝のなかに
異邦人の瞳を巡らし
飼いならした僕の足音を
狂わしていく
きえゆく影に手を重ねて
昨日の対価を
明日の朝焼けのために砕く
心の手が描く
みることへの沈黙に
便りを出す
操られ沈んで行く
迷路の果て
傀儡の構図に腰掛ける
大時計
壁のなかの瞳は
言葉の地図へと
視線を縦横に伸ばす
消された地平線
蝋燭に焼かれる空
救われぬ街
冬
朝の埠頭
深い眠りの船
乳白色に染めまる波の記憶は
人々の影の間でふるえている
薄ら日さす
あたたかなベンチは人さらい